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「自分は役に立っている」感

前回は評価・報酬の納得性と差別の話をしたが、会社レベルで突き詰めていくと「じゃあ辞めれば?」、逆に言えば「なぜこの会社で働いているの?」ということになる。生活のためか、好きだからか。もし前者「だけ」ならば、納得感があっても(なければもちろん)離職は止められない。

評価・報酬の公平性、納得性は「横比較」で判断される。自分の処遇が良くても、同僚がもっと良ければおかしいと思うし、悪くてももっと悪い人がいるとそれなりに納得したりする。

一方、好きの基準は「自分の気持ち」、つまり自分が役に立ったか、成長したか、喜ばれたかにある。(Zoom創業者のEric Yuanを含め)起業するのは、今の会社で「本当にお客様を喜ばせること」ができないからだといわれることが多い。

ちゃぶ台返しで申し訳ないが、多くの日本企業(特に大企業)で本当に必要なのは評価・報酬制度ではなく、社員に「役に立った感」をどれだけ体験させられるかに思われる。有名な「自分の仕事が月面着陸に貢献したと誇るNASAの掃除係」のように感じられれば、(伊那食品的な)終身雇用と年功序列のほうがうまくいくかもしれないし、医療従事者が過酷な条件で働くことができるのもそこに尽きるのではないか?

人の半分くらいは「ありがとう」でできてるんじゃないですかね。残りの半分だけで何とかしようとするとおかしくなるんだと思います。