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「イノベーション」と言い過ぎてないか?

イノベーションばやりである。現在購入可能な「イノベーション本」は77万冊あって、1日20頁読むと全部読むのに2500年かかるのだそうだ。一方で「イノベーションと言わないほうが、イノベーションが起きる」という面白い記事が直近のダイヤモンドハーバードビジネスレビューにあった。

イノベーティブなはずのアメリカやカナダでも、現場の社員から見れば、イノベーションとは「結果の出ない余計な仕事」「(下手にかかわったら)職がなくなる」とみられているという。以前学会で「不確実な時代には決め打ちの戦略は意味がないから、いろいろやってみて成功モデルを探す」という議論をしたとき、「経営者として言っていることはわかるが、現場は『大勢の失敗者』になりたくない」と指摘されたのを思い出す。

論文は「イノベーションという言葉は社外のステークホルダーには魅力的だが、社内では従業員が受け入れられる言葉を選べ」という。個人的には「もっと会社をよくしよう」でも全然いいのではと思う。今回のコロナ問題で、印鑑だけでなく、いかに無駄な仕事・手続きが多いかに改めて気づいた方は多いだろう(大学は本当に酷い)。どんな企業でも現場の女子社員に「何でこんなバカなことやってるんだろう?」と思うことを10個あげてもらって、それらをさっさと止めたら、下手なイノベーションより間違いなくよくなるのではないだろうか?

遅ればせながら「全裸監督」を見た。結局イノベーションとは「こういうものだ」と思い込んでいる「ものの見方を変える」ことだと深く思う。佐藤ナオキさんは「トイレットペーパーを棒に差し込むだけになったことはすごい」と指摘されているが、マスクも含めうまい売り方ないかな。