「かんぽ不正 黙認で膨張」2019年12月19日日経朝刊の三面の見出しである。調査委員会の報告書では「法令順守や監査部門の機能を充実」させることが重要だという。
もちろん間違ってはいない。しかし正論は往々にして上から目線であるため浅薄である。少し前にリコール隠し問題が頻出した時にも感じたが、こうした「泥棒が増えたからもっと法律や警官を増やしましょう」的議論が機能したためしがない。「いじめがあるから、仲良くしましょう」というのと同じで、対外的な言い訳としてはいいが本質的な問題は何ら解決されないだろう。
「黙認」とは何だろう。経営幹部や管理職が「公に認めたわけではないから自分に責任はない」と思った(いる)としたら、将来は暗い。翌日の「私の履歴書」では澤部肇氏が「見て見ぬふりをする」ことに触れられていたが、「見ること(聞くことも含め)」と「言うこと(言わないこと)」にリーダーシップの本質があると思うからである。
そんなことを考えながら自分はどうだろうかと振り返ってみる。たいして見もせず、よく聞きもせず、相手かまわず自分の言いたいことを言う…のが自分のスタイルであることに56年たってようやく気づく。いまさら変わらない気はするし、それが良いこともあるが、少なくとも「見る」「聞く」に省エネしないようにと思う年末になりました。
いろいろあった2019年もなんとか乗り切れそうです。良いお年をお迎えください。