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「素人決定、玄人実装」:病院のベットで考えたこと(3/3)

前回上げた4つの「決断」はいずれも後悔していないと申し上げましたが、手術だけでなくその後の苦労はいずれも相当なものがありました(奥さんの出産直後に仕事をやめて海外に家族で引っ越しをすることは絶対に勧めません)。決断の後にくる苦しみを知らなかったからこそ踏み切れたのだと思います。

手術当日の8月26日の日経新聞夕刊に「素人発想玄人実装」というカーネギーメロンの金出先生の記事がありました。「まるで素人のように考え、実行は玄人として緻密に行う」ことの大切さです。

大きな(経営の)意思決定は様々な要素を考慮します。ただ、いいとわかっていてもどうしてもリスクが気になって踏み切れない。逆に(東芝のウェスティングハウス買収のように)どう考えても払いすぎじゃないと思うような買い物をしてしまう。玄人の意思決定は慎重すぎか自信過剰のどちらかに振れやすいと思うのです。

その意味で今回の手術は「素人決定」の勝利と思います(他の3つも)。もちろん、いい先生、スタッフ、そして家族の支援という「玄人実装」があったからですが。

複雑な消費税の仕組みも大学入試改革が頓挫するのも(乃木希輔が苦労したのも)、金出先生が一番やってはならないと指摘される「玄人発想素人実行」が根底にあるように思われます。逆に言えば、「専門家に任せておけば大丈夫」というのは、実装・実行フェーズの話であり、意思決定は怖くても「素人」が自分の心に従ってすべきなのだと感じます。「専門家任せてだめだった」のは言い訳には最適ですが、自分の心に正直であるとは思えません。

退院して9日目。70%の回復というところです。