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コペンハーゲンで感じた「国際化」と「研究」

先日のニュースでもお伝えした様に、Academy of International Business (AIB)の総会でコペンハーゲンに行ってきました。Globalizationが叫ばれ続ける今日、世界中の研究者がどんなことを考えているか良い機会でした。

ポピュリズムやグローバル化に逆行する政治が多国籍企業に与える影響を議論するセッション、すっかり定着したemerging economy(あるいはそこから出てきた企業)を研究するセッション、あるいはデジタルと国際化を議論するセッションなどホットな話題がいろいろありました。

思ったよりもあったのは、とっても基本的な議論、例えば「国の文化は経済の発展によって変化するといわれるが、価値観はそんなに簡単に変わらない」「アンケートの回答は、その時のムード(例えば、中国が脅威になっている事件が起きたとか)によって大きく影響されるので信頼性にかける」。更には、liability of foreignness (文化の違いや知識不足のために国外市場への進出は少なくとも当初は負債になる)という有名なコンセプトをもじってliability of ignorance(外国ではなく、自国のことを結構知らない)を指摘したり、「(研究において)そもそも海外子会社の業績をどう比較できるのか(税率の低い国の子会社に利益をつけることはよく知られています)」といった話まで、研究すればするほど基本的なことに疑問が生まれるのです。

結局「研究」というのはそういうことでしょう。「What is interesting?」についてはいろいろなところで触れていますが、私達研究者がすべきこと(できること)は企業の課題に対してお手軽な解決案を示すことではなく、「正しい問い」を投げかけること、「あたりまえのマインドセット」で重要な兆候を見逃さないようにと警鐘を鳴らすことなのだと思います。

驚いたのは、マカオ大学の30代前半の中国人の先生が「香港のデモってなんで起きてるの?」と香港からきた日本人の先生(KBS出身の牧野先生)真剣に聞いていたことです。liability of ignorance!