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AIB (と大阪) で考えたこと(3/3)

3.「経験」って何でしょうか?多くの場合「経験豊富」はいい意味で使われます。確かに過去の成功パターンを持つことは貴重ですが、環境も競争も違う未来にどれだけ当てはまるでしょうか?逆に、経験がなければ、原則論で勝負するしかなく、組織の機微に対する理解は不足していても、より正しい答えに近づける可能性が高いかもしれません。星野リゾートの星野佳路代表が「教科書」にこだわるのはそういうことではないかと思います。

欧米企業では、スタートアップはもちろんいわゆる大企業でも40代、場合によっては30代のCEOが誕生することは珍しくありません。これも、実は私が昔から不思議に思っていたことです。コンサルティング時代にも、30代の「若造」日本市場の責任者と仕事をしたことがあるのですが、とても有能であったことを覚えています。この問題も、だいぶ解けた気がします。

日本経済新聞の朝刊で毎週火曜日に「私の課長時代」という連載があります。著名な経営者が自分の課長時代を振り返って「一皮向けた」経験を述べていらっしゃるのですが、「私の部長時代」でないことは示唆的です。「芸術家もスポーツ選手も、大成するのは才能ではなく1万時間厳しい練習をしたかどうかで決まる」という「1万時間理論」を当てはめれば、週40時間ガチに働いたとすれば、年間約2000時間、5〜6年で1万時間です。

「経験不足」という分かったような分からないような理由をつけて、人材を活用しない組織、自分で挑戦しようとしない個人、子供にやらせない(失敗させない)親は、実は大きなチャンスを逃しているのではないでしょうか?できる人ができても、そこには成長も感動もありません。リスクがあるからこそリターンがあるのです。原則を信じて、そして自分を信じて新しいことにチャレンジすることなしに、せっかくの能力を忖度することに浪費して、グローバル競争に勝てるとはとても思えません。昨日大阪のトップセミナーで私が担当したケース「株式会社Gunosy」でもそんな話をしました。見学にお越しいただいたGunosyの伊藤CFOは「ドリームインキュベータにいた時に堀紘一さんによく言われたこと」を思い出したそうです。

「人から言われた仕事は、つまらないけど楽だ。自分から言った仕事は、しんどいけど楽しい。皆、楽しすぎだ」

書いて思ったのですが「楽」って、実は真反対の意味を持った漢字なんですね。

写真はAIBのパーティが開かれたアメリカンフットボール、ミネソタバイキングスの本拠地、US Bank Studiamでのものす。シーズンの冬は猛烈に寒いのでドームになるわけですが、このまま行くと甲子園もドーム化か?