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AIBで考えたこと(2/3)

(前回の続き)

2の「創業者目線」についてはアマゾンやフェースブックはもちろん、日本でも、例えば日本電産、ソフトバンク、ユニクロなど創業社長の強みやリーダーシップが、例えば東芝などの「大企業」のリーダーに比べ、脚光を浴びています。そうした強みの本質はよく「決断力」「胆力」といった、分かったような分からないような言葉で表現されることが多いのですが、今回改めて自分なりに腹に落ちたことがありました。GE Appliancesもそうなのですが、日本でも鴻海に買収されたシャープはあっという間に黒字になってしまいました。なぜそれまでの「優秀」な経営陣ができなかったのか?ずっともやもやしていました。

これは買収企業に限りませんが、オーナー企業に共通する点があります。1つは創業者はもちろん、創業家の2世3世には、上司がほぼいないということ。もう一つは、その結果として、自分が常に責任者であるということです。2世、3世を見ていると、そもそも「上司の顔色を見る」とはどういうことかも、頭では理解できても、まったくピンと来ていない方が多いように思われます。「一番大切なのはお客様に価値を提供することなのに、なぜそんなに社内のことにこだわるのか」、そういう「正論」を言うことができるのです。

GE Appliancesのイノベーションに対する施策もこれまではなかなか分かってもらえなかったが、張瑞敏CEOは30分で分かってくれたそうです。結局、被買収企業が復活したのは、すごいことをやったわけではなく、正論に基づいて、あたりまえのことをあたりまえにやっただけなのだと。

組織の中で、人の気持ちを推し量るなと言う気はまったくありません。組織では社員の動機付け、家族だって夫婦だって相手を思いやる気持ちは不可欠です。ただ、組織で言えば社員をうまく動かし成功に導くはずの「気づかい」が、いつのまにか目的になってしまっていないか?と思うのです。周りばかりに気をつかい、少しずつ目標を「現実的」に修正しているうちに、どこに行きたいのか本当の気持ちがわからなくなっていないか?

そう考えて見ると、不振の会社を立て直そうと外部から入っていくのは、酔っ払いの集団にしらふで説得に行くようなところがあります。「会社を変えるのは、ワカモノ、バカモノ、ヨソモノ」などといわれ、なるほどとうなずかれる方も多いですが、実際に酔っ払いの集団に挑む自分を想像できる方は少ないように思われます。実際日本交通の3代目川鍋一朗社長は「アメリカかぶれのエコノミスト」とあだ名され、星野リゾートの星野佳路社長が改革を進めると「3代目の暴走」と言われ社員の3分の一が辞めたといいます。こうした事例は、創業家が先入観に酔っぱらうと手におえないというリスクもまた示しています。

ちなみに、ミネアポリスは3Mはもちろん、ウォールマート(最近はアマゾン)に対抗するターゲットの町でもありますが、写真撮りそこないました。(次回に続く)