ここだけの話だが、私は時々横断歩道のないところを渡る。この前もそうして、お巡りさんに「横断歩道を渡ってください」と注意された。ふと「横断歩道以外を渡ってはいけないのか？」と思い、ググると同じように暇であまのじゃくの人がいて「禁止標識がなければ、法律上問題ない」ことを示していた。

日本代表のトルシエ元監督が「日本人は明らかに安全でも赤信号で止まる」と発言して物議をかもしたことがある。何度も繰り返すが、日本人の多くはルール（を守る）ことが大好きだからである。安全であるという評判を世界的に得ているのもそのおかげである。

建築家の安藤忠雄さんが20代に世界中の建築を見に行ったのは、「自分に投資しろ」と祖母に背中を押されたからだそうである。今から50年以上前のことだ。「節約しろ」「貯金しろ」という世の中の暗黙のルールに縛られたおばあちゃんだったら安藤忠雄は生まれなかった。そして彼は今「ルールの外で生きたい」「自分の思うことと世の中のルールが違うことが多い」と言う。

社会においてNO RULESはありえない（実はNetflixも規模の拡大につれて方針の見直し中であることが先日伝えられている）。ただ、いつ、どのような場面で、どのルールを守るか、守らないかを判断する力は磨くべきだと思う。ルールやマニュアルの本質的な問題は、盲目的に従って考えなくなることである。

実は注意されたとき、お巡りさんだけでなく横断歩道も近くにあった。いきあたりばったりは、なにかとよくないのです。