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年功序列問題の根っこ:What is really wrong with the seniority system

少し前(といっても40年くらい前?)は年功序列は終身雇用、企業内組合と並んで日本の高度成長の原動力となった三種の神器と言われていた。最近はもっぱら悪役である。「遊んでいるおじさん」はコスト的にも若い社員のモチベーション的にも大きな問題である。

ただ、よく考えてみると年功序列は悪いことばかりではない。人や職種にもよるが、経験は必要で、成果と経験の相関を取ったら右肩上がりのグラフになることは間違いない。AIの時代でもそれは残る。

本当の問題は、そのグラフがあるときから(急激に)寝てくること、場合によっては下がってくることにある。そして多くの場合権限や給料は下がらない。役職定年制度を導入したら、ポストは空いたが本人はモチベーションが下がって「遊んでいる度合い」が増えた、などという話も聞く。

実はこの現象は企業だけでなくスポーツ界、芸能界にもある。もちろん芸歴が長いからヒットするわけではないが、いったん「大物」になると同じことが起きる。プロ野球でもそう。佐々木朗希投手(21)の年棒が田中将大投手(34)の1/5って客観的に見ておかしくないか?

会社への貢献という分かったようなわからないような概念だったり、若い時の安月給を取り戻すといった話で正当化されたりする。一方、給料は下がっても70歳あるいはそれ以上働きたいという人もたくさんいることを忘れてはならない。

どこまで行っても人事評価は難しい。人間は思ってもみない潜在力がある一方、とても面倒くさいということを忘れた「合理的」な施策では決して解決しない。「労働は苦役、引退がゴール」というキリスト教的価値観に根差した欧米型の人事制度は本当に日本企業に向いているのだろうか?