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「給料高いのに遊んでいるおじさんたち」 (前): Does CHRO really help?

「給料高いのに遊んでいるおじさんたちがなぜ生まれたのか」問題には、今回触れる性悪説的な要素と次回ふれる性善説的ない要素の2つの側面があると思う。

若いときはバリバリやっていた人も多いとすると、問題の根底あるのは本人だけでなく組織としての甘えの構造、つまり緩い人事評価がある。実は30年ほど前にも「年功序列は古い」「これからは成果主義」という話が日本中をにぎわせた。そのうち『虚妄の成果主義』『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』という本まで出る始末で、結局何がどうなったか曖昧なまま来ている企業が多くないだろうか?

何が言いたいか?つまり「評価」の問題であっても「制度」の問題ではないということである。

先輩だから、あるいは嫌われたくないから、更には自分も将来そうなるかもしれないなどなど、精緻華麗な降格制度はあっても使われない。飲み屋ではいろいろ言っているが、本人には言えず、なれ合いが蔓延している。それで「成果主義は日本の文化には合わない」との賜り、「給料高いのに遊んでいるおじさんたち」を量産し、その対策に追われている。自業自得である。

ただ、人事評価を含め、悪いフィードバックを伝えたくないのは日本だけでない。何度も言うがジャック・ウェルチのベストセラー『ウィニング』の第2章は「Candor: The biggest dirty secret in business」であり、世界中で講演した経験から「自分が会社から率直なフィードバックをもらっている」と感じている人はせいぜい20%だと指摘している。

難しいから差がつくのだ。そのせいか、ヒトの話になると制度ばかりこねくり回している企業が多いように思われる。CHRO (Chief Human Resource Officer) もそう(秋田さん、濱瀬さん、Chikaさんごめんなさい)。それって、CEOの仕事じゃないのと思うからである。実際にCHROの設置を推奨した「伊藤レポート2.0」では、その他の提言の主語は全て「CEO・CHROは」となっている。