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課長級抜擢?: A pitfall of single loop learning

Single loop/Double loop learningという古典的なコンセプトがある。例えばエアコンの温度。設定した25度から外れたときに戻すのがsingle loop、そもそも25度がいいかどうかを考えるのがdouble loop。DXで言われる「本来不要な仕事を一生懸命効率化する」のはsingle loop の悪いところである。

10月28日の日経新聞に「新卒2年で課長級抜擢も」という見出しが躍った。「管理職に登用されるのは30代半ばが一般的」だった富士通という日本の伝統的な企業も年功序列から抜け出し、若い力を活かそうと前向きになっていることを伝えている。

が、これは実はsingle loop ではないかと思う。そもそも課長、管理職は必要なのか?能力と意欲のある人材がプロジェクトを引っ張っていくのは当然ではないのだろうか?目的達成が第1で、課長とかは枝葉末節では? などなど。

結局、見る世界がそのままで「学んだ」と言っていても、あまり変わらない。そもそもこうした記事自体が年功序列の枠の議論である。Double loop のために本当に必要なのは、前提を壊すこと、つまりそもそもに戻ること(Amazon流に言えばDay1)。「パーパス」「人的資本」も既存の枠を温存したままの議論(つまりsingle loop 、あるいは酔っぱらいのジレンマ)になっていないだろうか?

もちろん「誰もが否定できないこと」を声高に叫ぶより、「好き嫌い人事」といわれても抜擢に挑む方がはるかに進んでいることは認めます。ガンバレ富士通!