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バイアス、ノイズ、そして(やっぱり)ルール?

カーネマン教授の最新刊『ノイズ』をやっと読んだ(日経の書評に先を越された)。バイアスは偏り、ノイズはばらつき。詳細は本書に任せるが、驚いたのは「最近はなんでもバイアスで説明しようとする」と、バイアス研究の第一人者が言っていること。

その真意は「なんでも分かりやすい因果関係で説明」しようとして、実際には役に立たないことが多いという現実だ。確かにバイアスの議論は納得度が高いし、これまでの「合理的」な発想では見逃された部分も多い。それでわかったつもりになっているが、実はノイズの影響はとても大きい。

採用面接で意見が分かれるのは「多面的な評価」とも言えるが「評価基準が曖昧でばらついている」のかも知れない。実は後者が多いのだという。流行りの360度評価も(立場による違いを除いても)「70~80%はシステムノイズ」という指摘もある。

ノイズを減らすための有益なアドバイスもいくつか出てくるが、1つはルールを決めること。私がルール嫌いなのはご承知の通りだが、確かに明確なルールはばらつきを減らす。そして「本来はルールを決めるべき時に(裁量権のある)規範を設けていることが多い」と本書は指摘する。ビジョンもパーパスも理解にばらつきがあったらかえってノイズを増すだけだと。みなさんの会社は大丈夫ですか?