外出が極端に減って、たまった本でも読もうかという人は多いと思う。私もその一人。家内がたまたま読んでいた黒川伊保子さんの『成熟脳』、面白い。彼女のほかの著書も読んで「男と女の脳の違い」がわかり、ああ、うちだけではなかったのね、と目からうろこが落ちたが、ここで言いたいのはそうではない。
「何でこんなこともできないんだ!」といった上司や先生の発言を「上から目線」「高慢」「パワハラ」と感じた経験はだれしもあると思う。一方、言っている本人は半ば途方に暮れながらそう思っていることが多い。つまり、上から言っているのではなく「自分もできたんだから、当然できるはずだ」と同じ目線で言っている。本当の「上から目線」とは、相手を「愚かで守ってあげないといけない」「教え導かないといけない」と思った上での言動だと著者は言う。なるほど!
「顧客は神様なんて言っている場合じゃない。…何がいいものなのか教育してあげなければと発想してみよう」と彼女は提案する。「いいものを作ったのに、なんでみんなわからないんだ」なんて切れてる場合じゃないと。遠隔授業で5月から組織マネジメントの基礎クラスを教えるけど、「何でこんなこともわからないんだ!」だけじゃだめだと心に刻んだ次第。